欧米では生後間もない赤ちゃんに洗礼式をするのが一般的ですが、キリスト教から距離を置いて宗教的なイベントを避けたい我が家は代わりに「命名式」をしました。洗礼式と変わらず、赤ちゃんの成長を願って、親戚や友人へのお披露目も兼ねたその様子をお伝えします。

命名式で父に抱っこされる子ども
命名式で父に抱っこされる息子

洗礼式と命名式の違いは?

洗礼式(幼児洗礼)は大まかに言えば、教会でキリスト教の信徒であると宣言する儀式です。カトリックの国ならとても一般的な行事で、ドイツ南部のバイエルン出身の夫も親族も代々全員行ってきました。しかし近年、カトリック教会の度重なるスキャンダルや個人的な信仰・信条の違いから教会メンバーを離脱したり、距離を置き始める人が増えています。
そんな中、私たちの家族は生まれた子ども達に「命名式」をしています。これは、洗礼式から宗教的な部分を取り除いて、ただ純粋に赤ちゃんの健やかな成長を願って、参加してくれた親戚や友人に赤ちゃんを紹介することを目的としています。
夫はカトリック信仰の強い地域で成長して、小さい頃に牧師さんから高圧的に接されたり、自分達の牧師さんが飲酒運転や未成年淫行で捕まるような経験もあって(この件を聞いて、カトリック教会のスキャンダルなニュースが一気に身近になりました・・・・。もちろん敬虔でご立派な方が大多数だとは思いますが。)夫もその家族も現在は教会とは距離を置いています。私も日本でキリスト教を信仰する学校に通いましたが信仰を持ってはいないので、洗礼式をしないことに対して反対意見はありませんでした。
子どもはプロテスタントが主流のスウェーデンで産まれましたし、そもそも私たちは、子どもがどの宗教を信仰するかは自分で決めて欲しいと思っていて、本人が意思決定できる年齢に達する前に両親の一方的な考えで宗教儀式を受けさせることに抵抗があったので命名式を選びました。

命名式の時期

宗教儀式ではないので、いつでもいいかと思いますが、私たちは会場の祖父母の家からは遠いフランクフルトに住んでいるので、皆の休暇がとりやすい時期に行いました。子どもが生後7カ月頃でした。
と言っても、親戚や友人へのご挨拶も兼ねているので1歳になるまでには出来たらいいでしょう。ハーフバースデーに合わせてもいいと思います。

命名式の内容

私たちは、命名式をいつも祖父母の庭で行います。
お庭に赤ちゃんが誕生した記念の植樹をして、参加者全員でその木に願いをこめたオーナメントを飾ります。その後、皆で食事やおやつを楽しんで赤ちゃんを囲む午後をゆっくり過ごしました。
子どもも沢山来てくれたので、空っぽの花壇も用意して、一人ずつ小さなお花を植えてもらいました。大人がお喋りに夢中な時も、子どもに何かやることがあると張り切ってくれます。

命名式で。植樹後に親から挨拶
植樹後に親から挨拶

命名式の準備

食事

食事はメインを数品ケータリングで、サラダやケーキは持ち寄りでお願いしました。最初は自分で作ろうと思っていましたが、まだ子どもが小さかったので日々のお世話が大変で、このかたちにしてとても助かりました。ドイツでは持ち寄りは結構一般的なので、親しい人に気軽にお願いするのもいいと思います。自分で用意していたら、きっと命名式が始まる頃には疲れきっていました。無理せずに頼れるところは他の人に頼りましょう。毎年のお誕生日会やクリスマスなど料理好きの人は手料理を振舞う機会が将来何度もあります。

赤ちゃんの洋服

赤ちゃんの洋服は、日本の親友がベビードレスを縫ってくれたので、それを着せました。あまり頻繁に着られるものではないので、とてもいい記念になりました。結果的に洗礼式のような衣装ですが、特別感がありますし良かったです。夏だったら日本風に浴衣や甚平もいいかもしれません。

手作りのベビードレス
ベビードレスを着た息子

植樹用の木とオーナメント

木は、私たちの希望を伝えて夫の両親がお店で選んでおいてくれました。自分たちで選んでもいいと思います。
息子はミラベルの木を植えましたが、これまでに夫や彼の兄弟が生まれた記念に梨(豊水)やりんご、サクランボ、ツべチュケなど植えてきました。我が家は義父のポリシーで実のなる木を植えています。夫達の木は大きく成長して毎年たわわに実っています。果物を摘みに親戚や友人も訪ねてくれて、みんなで分け合うと、とても和やかな気持ちになります。
オーナメントも義母が用意してくれました。オーナメントによって、雰囲気がずい分変わるので、こだわるならここは夫婦で用意することをオススメします。
オーナメントに込める思い(友人に恵まれるように、食に困らないように、健康であるように、知性を大切に、思いやり・・・等です)を小さな紙に印刷して、ゲストが好きなオーナメントを選んで木に飾ってもらいました。

命名式で植樹オーナメント
植樹した木に願いを込めてオーナメントをかける

命名式のバリエーション

私たちのスタイルを紹介しましたが、命名式の内容は家族のスタイルによって柔軟に組み立てていいと思います。
例えば・・・・
・レストランで食事をして、ボードに参加者から赤ちゃんに対して書き込みをしてもらう。後日記念撮影と一緒にアルバムにする。
・お庭に参加者でお花を植える。
・みんなで集まり、それぞれムービーで赤ちゃんに簡単なメッセージを録画。データで残しておいて大きくなった赤ちゃんに渡す。
・タイムカプセルのように赤ちゃんへのメッセージを埋める。
・ゴッドマザーとゴッドファーザーに代わる後見人を選任する。

いかがでしたか?命名式は、キリスト教は信仰していないけれど生まれた赤ちゃんに何か記念のお祝いをしたいご家族にぴったりのスタイルだと思います。それぞれのご家族らしいかたちで、赤ちゃんの誕生と健やかな成長をお祝いしてくださいね♪


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